個人所得税-外国人の居住満6年判定に関する根拠公告

財政部 税務総局
中国国内に住所を有しない個人の居住日数判定標準に関する公告
財政部 税務総局公告2019年第34号

改定後の《中華人民共和国個人所得税法》と《中華人民共和国個人所得税法実施条例》を確実に実施するため、中国国内に住所を有しない個人(住所の無い個人と称する)の居住日数の判定標準を以下の通り定める。

一、住所の無い個人の一納税年度における中国国内累計居住日数が183日以上となる場合、これ以前の6年において中国国内での毎年の累計居住日数がいずれも183日以上で、且つどの年の一回の出国も30日を超えていない場合、当該納税年度の中国国内・外源泉所得について個人所得税を納付しなければならない。もし、これ以前の6年間のいずれかの1年で中国国内の累計居住日数が183日に満たないか、若しくは一回の出国が30日を超える場合、当該納税年度の中国国外源泉所得で、且つ国外の会社或は個人から支払われる所得については、個人所得税の納付を免除する。

前項に言うこれ以前の6年とは、当該納税年度の6年前から前年度までの連続した6年間を指し、これ以前の6年の起算年度を2019年(を含む)以降の年度から開始してカウントする。

二、住所の無い個人が一納税年度内において中国に居住する累計日数は、個人が中国国内に累計で滞在する日数をカウントする。中国国内での滞在当日の滞在時間が満24時間になる場合、中国国内の居住日数にカウントする。中国国内に滞在する時間が24時間に満たない一日については、中国国内の居住日数にカウントしない。

三、本公告は2019年1月1日より施行する。

ここに公告する。

財政部 税務総局
2019年3月14日

 

「本社で採用され駐在員として中国に派遣された中国人の方の個人所得税申告論点」

注:本稿は2019年3月の樱智而望企业管理咨询(上海)有限公司顧客向けレポートに掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

改正個人所得税法に基づく申告・納税が2019年2月より行われ、また累計計算による給与計算も早ければ2019年2月月初払いより適用され、改正に関する実務は一巡をしてまいりました。

今回は、本社採用で中国に派遣された中国人駐在員の方の申告の論点について触れ、改正個人所得税法に合わせて導入されたため余り脚光を浴びていない納税者識別ルールの整理について解説を行います。

【本文】

現在日本本社で採用され、駐在員として中国に派遣される中国人の方は少なくありません。それぞれ個人の事情は異なりますが、総合すると以下のような特徴を持つ方が多いといえます。

 

中国の身分証またはパスポートを保有しており、かつ日本で永住権等を取得している。

 

日本本社で採用され、駐在後は家族の本来居住地である日本に戻る予定である。

 

中国の身分証等を保有しているため、就業ビザを取る必要がない。

 

他の駐在員同様日本で社会保険に加入し続けているため、中国で社会保険に加入すると二重加入になる。

 

上のような方を仮に本稿では「中国人駐在員」の方と呼ぶことにします。

こういった中国人駐在員の方は、今回の改正以前では個人所得税法上「華僑」というカテゴリーがありまして一般の中国人の方より優遇を受けた形(月3500元ではなく4800元の税額控除)で申告を行うことが多くみられました。今回の改正で「華僑」の概念は消滅したわけではないようですが、少なくとも18年10月の改正により税額控除は中国人外国人に関わらず月5000元(年6万元)に統一されたため、華僑と主張する税法上のメリットはなくなりました。

 

ところで、今回の個人所得税の改正に伴い、以前も類似規定はありましたが「自然人納税人識別番号関連事項に関する公告」(国家税務総局公告2018年第59号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3960494/content.html 、以下59号規定と言います)が2018年12月17日付で公布されています。

 

59号規定により以下のように規定されています。

・自然人納税人識別番号は、自然人の納税人が税務実務を行う際の唯一の番号となります。税務実務には、申告、納税、還付申請、納税証明の発行、納税状況確認等が含まれますので、この番号が一度付与されれば中国の税務実務で使い続けることになります。

・中国の身分証を持つ者は、中国の身分証が自然人納税人識別番号となります。

・中国の身分証を持たないものは、「有効な身分証を税務局に提出したうえで税務局により納税人識別番号を付与されます。

・「有効な身分証」は、以下により定義されます。

  • 中国の身分証を有する中国公民の場合、中国の身分証。
  • 【中国のパスポートを有する】(意訳)華僑で中国の身分証がない場合、中国のパスポートと華僑の身分証明。
  • 香港・マカオ住民の場合、《港澳居民来往内地通行证》または《中华人民共和国港澳居民居住证》。
  • 台湾住民の場合、《台湾居民来往大陆通行证》または《中华人民共和国台湾居民居住证》。
  • 《中华人民共和国外国人永久居留身份证》を持つ外国人の場合、《中华人民共和国外国人永久居留身份证》と外国パスポート。
  • 《中华人民共和国外国人永久居留身份证》はないが、《中华人民共和国外国人工作许可证》を有する外国人の場合、《中华人民共和国外国人工作许可证》と外国パスポート。
  • その他の外国人の場合、外国パスポート。

 

この規定及び弊社の顧客実務の必要によりヒアリングしたいくつかの税務局によれば、以下のことが説明できます。

59号規定の通り、中国の身分証を持つ中国人駐在員は中国の身分証により個人所得税の申告をしなければなりません。

外国パスポートを除き、他の外国の身分証は一切中国税務申告上有効なものではありません。よって、例えば「日本の永住許可証」は中国の申告上使用してはいけません。

中国で社会保険に加入していない駐在員中国人の方の場合。税務申告情報と社会保険の情報一元化により一定のリスクはありますので、個別ケースごとに加入の要否を再検討されるべきでしょう。

駐在員の場合どのような法的形態により中国に派遣されているかが立替給与の国外送金の論点はもちろん、社会保険上でも判断根拠となるようです。合法的な範囲で個々及び会社のニーズに応じた契約・給与支払形態が採られるべきでしょう。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201939

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:特に期限なし

「500万元までの一定の固定資産の取得時一括償却」

注:本稿は2019年3月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

今号では一定の固定資産の一括償却について説明します。

関連規定は直近で発表されたものではありませんが、2018年度の企業所得税確定申告にも影響があることや、比較的多くのお客様に影響がある割には認知度が足りないと平素感じている内容です。今回あるお客様のリクエストによりこの内容を本紙面で取り上げることに致しました。内容はシンプルなものですが、皆様のご高覧に供します。

【解説:日本語】

 

1.税法上の取り扱い

 

 財政部・国家税務総局は2018年5月7日付で「設備・器具の損金算入に関する関連企業所得税政策通知」(財税[2018]54号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3439412/content.html )を発表しました。内容は次の通りです。

 

・期間:2018年1月1日から2020年12月31日までの期間

・対象:新たに取得した設備・器具で単価が500万元を超えないもの。設備・器具とは建物・構築物以外の固定資産を指す

(注:無形資産に計上される土地使用権、長期前払費用に計上される内装費も除外といえます)。

・内容:企業所得税の所得の計算上、その期に一括で損金算入できる。

 

単価が500万元までの設備・器具が対象となるため、対象期間中の多くの新規取得固定資産が対象になると言えます。

 

これまでの一括償却の規定は企業所得税法・実施条例、業種別規定を除き、2014年の「財政部国家税務総局 固定資産加速度償却の完全化に関する企業所得税政策通知」(財税[2014]75号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1260992/content.html )に単価5,000元以下の固定資産について一括償却を認めるものがあります。

また、財税[2014]75号は加速度償却についてもふれていますが、加速度償却については「財政部国家税務総局固定資産加速度償却の完全化を更に進める企業所得税政策通知」(財税[2015]106号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1818604/content.html )及び関連した確定申告方法などを定めた法規があります。

 

 

2.会計上の取り扱い

 

会計上の原価・費用認識と税法上の所得計算が異なる場合、一時差異が発生しますので、税効果会計の関連準則に基づき繰延税金負債を認識することになります。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201937

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:20201231

 

 

【法规:中文】

 

财政部 税务总局

关于设备 器具扣除有关企业所得税政策的通知

财税〔2018〕54号

 

为引导企业加大设备、器具投资力度,现就有关企业所得税政策通知如下:

 

一、企业在2018年1月1日至2020年12月31日期间新购进的设备、器具,单位价值不超过500万元的,允许一次性计入当期成本费用在计算应纳税所得额时扣除,不再分年度计算折旧;单位价值超过500万元的,仍按企业所得税法实施条例、《财政部 国家税务总局关于完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2014〕75号)、《财政部 国家税务总局关于进一步完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2015〕106号)等相关规定执行。

 

二、本通知所称设备、器具,是指除房屋、建筑物以外的固定资产。

 

财政部 税务总局

 

2018年5月7日