「確定申告書に記載する会計監査の内容」

注:本稿は2020年3月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

 

【はじめに】

 

会計監査報告書が出揃ってくる時候となっていますが、今号では会計監査報告書(审计报告)とその後に行われる企業所得税の確定申告書(汇算清缴)との関係についてご紹介をします。

まず基礎的な点として会計監査と確定申告の関係と数字の流れをご説明します。

その後に、確定申告書で記載報告が必要とされる会計監査の内容についてもご説明します。

 

 

 

 

【解説:日本語】

 

1.会計監査と確定申告の関係

 

会計監査報告書
確定申告書

 

 

 

 

 

 

中国語名                           审计报告(会计审计)                  汇算清缴(企业所得税)

内容                                   年度の決算報告書                                         年度の確定申告書

分野                                   会計(財務会計報告書)                              税務(申告書)

監査報告書(会計事務所による)               税務(関連当事者報告表)

作成主体                           会計事務所                                                    企業

提出先                               企業(董事会)                                            税務局

 

両者の最大の違いは、会計監査報告書は会計上の財務諸表が適切に財政状態・経営成績を示しているかどうかという監査意見を表明する報告書であるのに対し、確定申告書は税務局に対し企業所得税の計算上の一年の結果を申告する申告書になります。

会計監査が日本に比し幅広い主体に対して行われているため、会計監査の水準もまたかなり幅広いものになっています。状況によっては、会計監査と言うよりは年度の財務諸表を作成しているだけという場合もあるため、「監査」という言葉への過度の信頼は禁物です。

 

「中華人民共和国会計法」の下の条例である「企業財務会計報告条例」(国務院令2000年第287号、以下条例と言います)に財務会計報告書(财务会计报告)の内容が規定されています。財務会計報告書には、以下が含まれます(条例第7条)。

・財務諸表(貸借対照表:B/S、損益計算書:P/L、キャッシュ・フロー計算書:C/F、関連附表)

・財務諸表注記

・財務状況説明書

また同条例第37条により、財務会計報告書は公認会計士(会計事務所)の監査を経ることとされています。

 

 

 

両者の関係は、年度の確定した決算報告書(会計数値)を元に必要な納税調整を行い、企業所得税の計算上の年間課税所得を計算するものです。

税前利益
課税所得

 

 

                                                                                                     納税調整

 

 

 

 

納税調整とは、例えば会計上交際費として計上した支出は、実際に会社資産からの流出を伴っているため費用計上することで問題ありませんが、税務(企業所得税)上は損金算入限度額が決まっているため、支出した全額が損金と認められない場合に必要な調整を行うような作業の一式となります。

なお、外部の税務師事務所が確定申告書(のドラフト)を作る場合、「税務監査報告書」を発行します。以前は税務監査報告書の作成・税務局への提出が各地で必須でしたが、現状は必須ではありません。ただ、日ごろから適切な税務師事務所との関係が強ければ、税務調査などの時にも会社に協力してもらいやすく、また税務局との関係も補完できるといえるでしょう。

会計監査報告書
確定申告書
税務監査報告書

 

 

 

 

 

 

 

国家税務総局は2017年、「税金関連専門サービス監督弁法(試行)」(国家税務総局公告13号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341

/n810755/c2608065/content.html )を発表し、この弁法で規定されている税務師事務所などが税務監査報告書の発行等、高度な税務業務を行えることを規定しています。

 

 

 

 

  1. 確定申告書に記載する会計監査報告書の内容

 

余り知られていませんが会計監査報告書の内容は、結構詳しいレベルで確定申告書上税務局に提出報告することになっています。

BS・PL・納税調整以外の数字で最も確定申告上重要な数値は関連当事者取引に関する注記の数値でしょう。企業は税務機関に年度の企業所得税納税申告表を送付する際、関連当事者との業務往来について関連業務往来報告表を提出しなければならない(企業所得税法第43条)と規定されており、移転価格実務で最も基本的な内容となる表を全企業は報告提出しています。

 

他にも、以下のような項目を報告することになっています。内容は、今後の確定申告書フォームの変動によっても変動していくことと思います。

(確定申告書上の報告例)

  • 監査状況及び意見:無限定適正意見等
  • 会計監査会計師事務所:事務所名
  • 報告書番号
  • 監査報告書にサインした公認会計士:個人名
  • 監査報告書本文:監査報告書本文を直接報告する
  • 一部注記の具体内容:以下の項目。

会計準則遵守の声明。

短期投資、売掛金、在庫、固定資産の説明。

未払給与、未払税金の説明。

利潤分配の説明。

対外担保資産、未解決訴訟等の説明。

重要な繰越欠損、ゴーイングコンサーン。

納税調整の過程。

その他注記で重要な項目。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:2020210

 

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