「忘年会:来客が獲得した賞品の税務処理」

注:本稿は2019年12月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

 

【はじめに】

 

今号ではタイトルの通り、忘年会(年会)に参加した来客が獲得した賞品(景品)の税務上の考え方についてご説明していきます。

 

 

 

 

【個人所得税の計算】

 

個人所得税の計算上、以下の所得は「偶然所得」として計算をし、個人所得税を申告納税しなければなりません。(財政部・国家税務総局公告「個人が取得する関連収入の個人所得税課税所得項目の適用に関する公告」財政部・税務総局公告2019年第74号)

・年会、座談会、慶賀式典やその他の活動中、会社の従業員以外の個人に対して贈るお土産や個人が取得するギフト収入

・企業が業務の宣伝広告等の活動中、会社の従業員以外の個人に対して贈るお土産(インターネット上の紅包を含む)

但し、企業が提供する割引券的な性質を持つ消費券、代金券、相殺券、優遇券等のギフトは除外とします。

 

所得金額の測定については、自社で製造する製品やサービスについては製品やサービスの市場販売価格を以て所得額を確定し、購入した外部商品やサービスについてはその商品やサービスの実際の購買価格に基づいて所得額を確定します。(財政部・国家税務総局「企業のマーケティング活動でのギフト贈呈個人所得税に関する問題の通知」財税[2011]50号)

 

「偶然所得」は19年の個人所得税法大改正前からある個人所得税の課税所得区分の一つですが、19年の改正後の取り扱いは以下のようになっています。

・偶然所得とは個人が取得する賞品やくじその他の偶然性質のある所得を指します(個人所得税法実施条例第六条)。

・偶然所得は個別に所得税額の計算を行い、適用税率は一律20%となります(個人所得税法第二条、第三条、第六条)。

・個人所得税の源泉徴収義務者は所得を支払う会社となり、源泉徴収義務者は都度源泉徴収納付を行わなければなりません(個人所得税法第九条、第十二条)

個人所得税法上の取り扱いについては以上となります。

 

ことのついでに、個人所得税法以外の取り扱いについても簡単に見てみたいと思います。

・増値税法上の取り扱い

自社で製造する製品やサービスについてギフト提供を行った場合については、本稿中国会計・税務の現場から9月号「増値税:値引きと赤字発票の発行」をご参照ください。

・企業所得税法上の取り扱い

企業が商品販売促進のため商品価格の値引きを行った場合、値引き後の金額を以て商品収入の金額と確定します。

 

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:2019126

 

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