「賃貸借契約書上の違約金と発票」

注:本稿は2020年1月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

 

駐在員さんの急な帰国もしくは店舗の閉鎖などによって、賃貸借契約の満期を待たずに賃貸借契約を解除し、支払った敷金(保証金)を没収されることは実務上よくあると思います。今号ではその場合の税務上の処理について考えます。

 

 

 

 

【発票の発行】

 

実務上大家が没収した敷金相当額について発票発行を拒む、もしくは賃借側も発票発行を求めないことはよくあると思います。

しかし、税法上は増値税法に規定する「価格外費用(价外费用)」に含まれると考えられ、大家は賃借側の要求に応じて増値税発票を発行すべきと考えられます。

 

財税2016 36号 営業税改正増値税試点実施弁法

第三十七条 課税所得は納税人の課税行為により取得した全部の価格及び価格外費用を含み、財政部と国家税務総局が別途規定するものを除く。価格外費用は、価格以外に受領した各種の性質の費用を含む。

 

現行の増値税暫定施行条例実施細則の表現を参考にすると、

第十二条 価格外費用とは購入者から受領する手続費、補助金、基金、集資費、利潤の返金、奨励費、違約金、滞納金、延滞利息、賠償金、立替受取金、立替払金、包装費、包装物賃借料、倉庫費、優質費、運輸荷卸費その他各種性質の価格外費用を含む。

とあります。

 

昨年12月まで意見徴求していた中華人民共和国増値税法草案によると、

第十五条 課税所得は納税人が課税取引により取得した対価と関連する対価を指し、貨幣又は非貨幣形式の経済利益を含むものであり、一般課税方法で計算した売上増値税額と簡易課税方法で計算した納付税額を含まない。

とされ、「価格外費用」の表現はなくなるかもしれませんが「関連する対価(相关的对价)」に概念は引き継がれるようです。

 

敷金の没収は契約に基づき徴収される費用となり、価格外費用としてもしくは「違約金を賃借費用とする」といった備考欄コメントを付したうえで、正常な賃借費名目の増値税発票を発行することになります。

 

 

 

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