「駐在員の駐在中に関する税務処理の明確化」①

注:本稿は2019年5月の樱智而望企业管理咨询(上海)有限公司顧客向けレポートに掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で一部の図表が壊れておりますのでご了承ください。

【はじめに】

前号に続き、駐在員の個人所得税税務実務を全般的に明確化する財政部・税務総局「非居住者個人及び住所を有しない居住者個人に関する個人所得税政策関連公告」(財政部税務総局公告2019年第35号、以下35号公告といいます)に基づく、駐在中の駐在員の個人所得税申告の論点について整理をします。

 

前号でも示した通り、2019年改正個人所得税法以前の駐在員税務実務において具体的な状況に応じ計算方法を定めていた「国家税務総局国内に住所の無い個人が取得する給与報酬所得の納税義務問題に関する通知」(国税発[1994]148号、以下94年通知といいます)や「国家税務総局中国国内に住所の無い個人の税収協定の執行及び個人所得税法の若干問題に関する通知(国税発[2004]97号、以下04年通知といいます)等に替わり、35号公告が公布され2019年1月1日に遡って施行されました(同時に94年通知や04年通知は廃止されました)。

【本文】

2019年5月の申告時より、個人所得税申告システム(※)のユーザーインターフェースが35号公告を反映した内容となり、外国人(※※)についてシステム中の各「公式」に基づいて申告を行う形となりました。

※:上海市、広東省、江蘇省のシステムは確認済

※※:正確には「総合所得申告」の「正常給与報酬所得」、「非居住者所得申告」の「外籍人員正常給与報酬」等

 

「公式」に基づいて申告を行うのは2018年以前の実務にもあったものですが、2019年年初の個人所得税申告システムからは一度削除されており、今回35号公告公布後再登場する形となりました。外国人が在籍する経営者の皆様におかれましては、今回財務担当者から

・外国人の申告実務が「公式」を選択する形で申告を行うよう変化しました

・当社の在籍する外国人についてはXXの形で申告を行います

・4月までの計算方法とXXのような変更があり、XX元程度の税額の影響があります、もしくは特段計算方法や税額に影響はありません

というような報告は受けられましたでしょうか?

もちろん、申告システムに変更があったから即ち申告内容に変更が出るということではありませんし、税法の改正や新法規の公布に合わせて必要な場合変更となるべきですが、いずれにしてもリスクの高い駐在員の個人所得税税務実務に一定の影響を与える事項ですので、社内で報告・連絡・相談が出来ているかというテストケースのひとつになるかもしれません。(この手のテストケースは実務上頻繁に発生します)

 

 

 

閑話休題。2018年以前の実務では、94年通知や04年通知等に基づき「中国に満1年以上5年を超えず居住している駐在員」について以下に基づき申告計算を行っていました。

 

 

 

国税发[1994]148号

四、关于在中国境内无住所但在境内居住满1年的个人纳税义务的确定根据税法第一条第一款、实施条例第六条的法规,在中国境内无住所但在境内居住满1年而不超过5年的个人,其在中国境内工作期间取得的由中国境内企业或个人雇主支付和由中国境外企业或个人雇主支付的工资薪金,均应申报缴纳个人所得税;

 

 

国税发[2004]97号

(三)按国税发〔1994〕148号第四条或第五条规定负有纳税义务的个人应适用国税函发〔1995〕125号第四条规定的下述公式:

应纳税额=[当月境内外工资薪金应纳税所得额×适用税率-速算扣除数]×[1-当月境外支付工资/当月境内外支付工资总额×当月境外工作天数/当月天数]

 

 

今回35号公告により、類似した公式が定められました。

 

 

二、住所の無い居住者個人に関する給与報酬所得収入額計算

(二)住所の無い個人が居住者の場合

一納税年度内で、国内に累計して満183日居住する住所の無い個人が取得する給与報酬所得について、当月の給与報酬収入額は以下の規定に基づき計算する;

1.住所の無い個人が国内に累計して満183日居住する年度が連続して6年に満たない場合

国内に累計して満183日居住する年度が6年に満たない住所の無い居住者個人は、実施条例第四条の優遇条件に符合する場合、国外で就業する期間に帰属しかつ国外の会社又は個人が支払う給与報酬所得部分を除き、その取得する全部の給与報酬所得について、個人所得税を計算納付しなければならない。給与報酬収入額の計算公式は次の通り(公式三);

当月の給与報酬収入額=当月国内外給与報酬総額×

      当月国外支払給与報酬額  当月給与報酬所属就業期間国外就業日数

  1- ―――――――――――――× ―――――――――――――――――

    当月国内外支払給与報酬総額 当月給与報酬所属就業期間カレンダー日数

 

 

「住所の無い」という用語は過去の本レポートでも解説していますが、駐在終了後中国国外へ帰任する個人は「住所の無い」個人であるという定義が一番基本的なものです。また、今号では解説を省略しますが、財政部・税務総局「中国国内で住所の無い個人の居住時間の判定標準に関する公告」(財政部税務総局公告2019年第34号)により、全ての外国人の「満183日居住する年度」は2019年を1年目として起算することになります。

 

ここで、35号公告の上位の規定となり、上の規定でも参照されている個人所得税法実施条例第四条の箇所を記載します。

 

 

 

第四条 中国にいる住所の無い個人で、中国国内の居住日数が累計で満183日となる年度が連続して6年に満たない場合、主管税務機関に届け出の上、中国国外源泉所得且つ中国国外の企業または個人が支払う所得については、個人所得税の納税を免除する。

 

この「主管税務機関に届け出の上」の表現は2018年以前の個人所得税法実施条例の表現を踏襲していますが今一つ明確でない部分であり、お客様側でもご確認ください。

 

(1)実施条例第四条の「個人所得税の納税を免除する」をどう考えるか

実施条例第四条の「個人所得税の納税を免除する。」は財務以外の方にもクローズアップされやすく、且つ誤解を生みやすい点ですが思考回路は以下のように考えられます。

 

 

「中国国外源泉所得且つ中国国外の企業または個人が支払う所得については、個人所得税の納税を免除する。」(実施条例第四条)

 

 

「国外で就業する期間に帰属しかつ国外の会社又は個人が支払う給与報酬所得部分を除き、その取得する全部の給与報酬所得について、個人所得税を計算納付しなければならない。」(35号公告二(二)1.)

 

 

給与報酬収入額の計算公式は次の通り(公式三);

 

つまり、非常に基本的な点ですが会社が各自勝手に「中国国外源泉所得且つ中国国外の企業または個人が支払う所得については、個人所得税の納税を免除する。」を解釈するのではなく、実務上は公式三に基づいて計算申告を行うべきことになります。

 

(2)一般的な駐在員は日本で受け取る給与を申告すべきなのか

上に関係する論点ですが、そもそも一般的な中国現地法人の駐在員は日本等で受け取る給与についても中国で申告すべきなのでしょうか。これについては、駐在員の方を三パターンに分けて考えると良いと思います。

 

① 中国大陸の現地法人に出向し(雇用契約等の関係にあり)、出向元等他の会社の職務を持たない方

駐在員の方で多いのはこのパターンです。下の規定により、日本等で受け取る給与も中国国内で役務提供する対価と解されるため、すべてが中国国内源泉所得の給与として申告が必要です。

 

個人所得税法実施条例第三条(一)「任職、雇用、契約等中国国内で役務を提供することで取得する所得は支払地点が中国であるか否かに関わらず、中国国内源泉所得である

 

かつ、この方の場合は下の規定により、国外に出張や休暇に出たとしてもすべて国内で就業していると計算されるため、前頁(35号公告二(二)①)の公式の分子後半「当月給与報酬所属就業期間国外就業日数」が0になります。公式の後半の分数計算は不要となり、単純に「当月の給与報酬所得=当月国内外給与報酬総額」となります。

 

 

35号規定一(一)「国内の就業期間には国内での実際就業日、国内外での公休暇、個人の休暇、研修を受けた日数を含む。」

 

 

上の2点によりこの方は、日本等で受け取る給与を含めたすべての給与所得を申告しなければなりません。(次号に続く)

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201954

 

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また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:特に期限なし

「社会保険徴収に関する動向」

注:本稿は2019年5月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

 

【はじめに】

 

今号では多くの皆様のご関心のある社会保険徴収に関する各種決定を整理して報告します。直近メディア等既に目を通されたお客様にとっては、さほど目新しいことの記載はないかもしれません、その際はご了承ください。

 

 

 

 

【概説:日本語】

 

  1. 税務・社会保険徴収の一体化猶予など

 

国務院は2019年4月1日付で「社会保険納付比率の引き下げ総合法案の通知」(国弁発[2019]13号、 http://www.gov.cn/zhengce/

content/2019-04/04/content_5379629.htm )を発布し、以下の内容を明確にしました。

 

①過去の徴収漏れについて

過去の企業の社会保険料納付漏れの問題に対し、徴収体制改革過程中企業の過去の納付漏れに対する徴収を集中的に行ったり、小規模企業の実際納付負担の増加につながる一切の方法を採用したりして、企業の生産経営が困難となることを避けなければならない。

 

②平均給与の算定方法改訂について

社会保険基数の範囲を決定する基礎となる平均給与の算定方法について改訂を行う。各省は各地非私営企業の就業人員平均給与と、各地私営企業の就業人員平均給与を加重平均して各地の就業人員平均給与を求め、社会保険の基数の上下限を決めなければならない。

2019年4月9日の人力資源社会保障部、財政部、税務総局、国家医保局の責任者インタビューによると、平均給与はこの改訂により下がることが示唆されており、連動して基数の最低金額及び最高金額が下がることが想定されます。

 

③社会保険の徴収移管猶予について

企業の従業員の各種社会保険の納付について、原則として現行の徴収体制を継続する。つまり、社会保険部門が徴収していたものは社会保険部門が徴収し、税務部門が徴収していたものは税務部門が徴収し、納付方法の安定化に努める。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:2019423

 

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本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:20191231

 

 

中文

 

国务院办公厅关于印发降低社会保险费率综合方案的通知(国办发〔2019〕13号)

 

三、调整社保缴费基数政策

调整就业人员平均工资计算口径。各省应以本省城镇非私营单位就业人员平均工资和城镇私营单位就业人员平均工资加权计算的全口径城镇单位就业人员平均工资,核定社保个人缴费基数上下限,合理降低部分参保人员和企业的社保缴费基数。

 

六、稳步推进社保费征收体制改革

妥善处理好企业历史欠费问题,在征收体制改革过程中不得自行对企业历史欠费进行集中清缴,不得采取任何增加小微企业实际缴费负担的做法,避免造成企业生产经营困难。

 

企业职工基本养老保险和企业职工其他险种缴费,原则上暂按现行征收体制继续征收,即,原由社保征收的继续由社保征收,原由税务征收的继续由税务征收,稳定缴费方式

「駐在員の着任に関する税務処理の明確化」

注:本稿は2019年4月の樱智而望企业管理咨询(上海)有限公司顧客向けレポートに掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で一部の図表が壊れておりますのでご了承ください。

【はじめに】

2月号のレターでも記した通り、改正個人所得税法、個人所得税法実施条例及び源泉徴収に関する各法規だけでは、駐在員の個人所得税計算が従前のように十分に出来ない、もしくは担当者によって解釈が割れる可能性が十分にあり、「国家税務総局国内に住所の無い個人が取得する給与報酬所得の納税義務問題に関する通知」(国税発[1994]148号、以下94年通知と言います)のような規定に替わる新たな規定の整備が求められていました。

 

今回2019年3月14日付けで財政部税務総局は「非居住者個人及び住所を有しない個人に関する個人所得税政策関連公告」(財政部税務総局公告2019年35号、以下35号公告といいます)を公布し、2019年1月1日に遡って施行されました(同時に94年通知は廃止が明確化されました)。この35号公告は駐在員の税務実務を全般的に明確化することに寄与した公告になり、今号では着任時の論点について整理をします。

【はじめに】

まず、2月号のレターの内容を一部再掲しますと、国外の親会社から駐在員の形で中国の子会社に就業する外国人は、以前94年通知三の以下部分に基づき個人所得税計算・申告を行っていました。つまり例えば2019年3月に初めて来中する外国人駐在員で、駐在期間が1年以上予定されている外国人の場合には、来中した3月当初から満183日以上の外国人と「みなして」計算・申告納税を行っていました。

 

 

国税发[1994]148号

取得的工资薪金所得是由境外雇主支付并且不是由中国境内机构负担的个人,事先可预定在一个纳税年度中连续或累计居住超过90日或在税收协定法规的期间中连续或累计居住超过183日的,其每月应纳的税款应按税法法规期限申报纳税。

 

今回19年年初までの改正により、「一年間に183日以上いる外国人は居住者、それ以下は非居住者である」とシンプルに定義・整理されたため、税務局窓口や局内でも当初それ以外の指導が行われず、2019年3月に初めて来中する外国人駐在員で、駐在期間が1年以上予定されている外国人の場合にも、最初は非居住者として申告をし、その後居住者に変更しなければならないのか?混乱が見られることになりました。

 

今回35号公告により、以下の点が明確となりました。

 

 

五、住所の無い個人に関する関連徴税管理規定

(一)住所の無い個人の予定国内居住時間に関する規定

住所の無い個人が一納税年度に初めて申告をするとき、契約等の状況に基づき一納税年度内に国内に居住する日数並びに租税協定に規定する期間内の国内滞在日数を見積もり、その状況に応じて税金を納付しなければならない。実際の状況が見積もりの状況と異なることになった場合、以下の規定に基づいて処理を行う。

 

この規定により、今年の中途において初めて来中する駐在員が駐在開始時点より居住者として申告すればよいか、非居住者として申告すればよいかの指針が確定しました。一般に駐在員の場合には駐在初年度中に駐在任期が満了し、国外へ帰任することはないと思いますので、そのような契約等の状況に基づき年末まで居住を続けると仮定したうえで居住者または非居住者として申告をその年度において続けて行うことになります。

同時に、既に昨年以前より中国に派遣されている駐在員が(一般には)居住者として申告すればよいことも確定しました。理論的には比較的大きな内容と言えます。

 

なお、「住所を有する」とは戸籍、家庭、経済利益関係により中国国内に習慣的に居住することを指します(改正個人所得税法実施条例第2条)。なお、仕事等により居住し、その原因が消滅した後中国から帰国する個人は中国が習慣的居住地ではありません(国家税務総局「個人所得税の徴税に関する若干問題規定」の印刷発布に関する通知、国税発[1994]89号)ので、駐在員の任務を終えた後国外へ帰任する駐在員の方は通常住所を有しないものと考えます。また、居住地の判定については別途いくつかの規定があるため、軽率に判断することはお勧めいたしません。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201949

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:特に期限なし

 

 

「一般製造・研究開発企業の研究開発促進税制」

注:本稿は2019年4月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

 

【はじめに】

 

今号も、直近の規定ではないですがお客様のリクエストに基づき、一般製造・研究開発業の研究開発促進税制である「研究開発費の追加損金算入」の関連規定の概説を行います。

 

 

 

 

【概説:日本語】

 

  1. 大別

まず、研究開発費の追加損金算入に関する規定は大きく分けて2つがあります。

① 新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入

② 科学技術型中小企業の新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入

 

科学技術型中小企業かどうかは、以下の規定で判定します。

科技部財政部国家税務総局 「科学技術型中小企業評価弁法」の印刷発布に関する通知(国科発政[2017]115号、http://www.most.gov.cn/mostinfo/xinxifenlei/fgzc/

gfxwj/gfxwj2017/201705/t20170510_132709.htm 、以下115号規定といいます)

 

115号規定中、科学技術型中小企業に該当する企業は「高新技術企業資格証書」などを有するか、または「科学技術型中小企業評価指標」の「総合評価ポイント」が60より多いなどの条件を充たす必要があります。総合評価ポイントは、科学技術人員指標(最大20ポイント)、研究開発投入指標(最大50ポイント)、科学技術成果指標(最大30ポイント)の合計で計算をします。

 

以下では、科学技術型中小企業ではない【一般】企業を対象とした規定について説明をします。

 

  1. 新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入

企業が新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発を行う時、その費用の実質が存在し、無形資産計上せずに費用が発生した期に研究開発費として損金計上を行う場合、計上した研究開発費用の75%を追加損金算入することができます。無形資産に計上する場合には、計上した無形資産の償却費の75%を追加で特別償却することができます。

「追加損金算入」は確定申告上納税調整の一環として行うため、日本のように税額控除を行うわけではありません。

 

関連規定は色々ありますが、現在以下の2つの規定が主な内容を規定しており、他の規定はこれらを補足・調整したりする内容となっています。

 

財政部国家税務総局科技部「研究開発費用の追加損金算入政策の完全化に関する通知」(財税[2015]119号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1878881/content.html )

国家税務総局「企業研究開発費用の追加損金算入政策関連問題の公告」(国家税務総局公告2015年97号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1981362/content.html )

 

ここで、本来の追加損金算入割合は50%ですが、2018年1月1日から2020年12月31日までの期間は以下の追加優遇規定により75%と規定されています。

財政部国家税務総局科技部「研究開発費用追加損金算入割合の引き上げに関する通知」(財税[2018]99号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3754895/content.html )

 

まず対象となる産業の対象は広く、ホテル業、飲食業、卸売業、小売業、不動産業、商務サービス業などを主要業務とする会社以外すべてとなっています。

研究開発費として計上を行うために、プロジェクトの計画書を作成する、専任の研究開発人員が誰かを明確にし研究開発を行う資産(機械等)が何かを明確化する、研究開発支出としての補助帳簿を作成する、企業所得税確定申告書上追加の書面を提出すると言った要求があります。

研究開発は外部委託の研究開発を妨げるものではありませんが、以下のような活動は研究開発とは呼ばないと言った制限があります。

・製品の通常の改良、アップグレード

・製品化後のアフターサービス

・既存製品のプロセス改善

 

対象となる研究開発費の範囲を費目別に定義すると、以下のようになります。

・研究開発人員の人件費・・・直接研究開発に従事する人員の給与報酬、社会保険、外部研究開発人員の労務費用

・直接投入費用・・・研究開発活動の直接消耗費用、中間試験試作品の開発製造費、サンプルやテスター等の購入費、試作品の検査費用、研究活動設備の修理調整費用、関連するオペレーティングリース費用

・固定資産の減価償却費・・・研究開発活動の器具備品の減価償却費

・無形資産償却費・・・研究開発活動に使うソフトウェアや特許権の償却費用、ライセンス等の償却費用

・新製品の設計費等・・・新製品の設計費用

・外部機構や個人に委託して進めた研究開発活動で発生した費用

 

なお、研究開発費の会計処理は企業会計準則6号―無形資産などに基づき行います。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201937

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:20201231

 

 

中文

 

关于开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用加计扣除:

企业为开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用,未形成无形资产计入当期损益的,在按照规定据实扣除的基础上,按照研究开发费用的75%加计扣除;形成无形资产的,按照无形资产成本175%摊销。对从事文化产业支撑技术等领域的文化企业,开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用,允许按照税收法律法规的规定,在计算应纳税所得额时加计扣除。

 

主要法规:

http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1878881/content.html

财政部 国家税务总局 科技部 关于完善研究开发费用税前加计扣除政策的通知

财税〔2015〕119号

 

http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1981362/content.html

国家税务总局 关于企业研究开发费用税前加计扣除政策有关问题的公告

国家税务总局公告2015年第97号

 

补充法规:

http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3754895/content.html

财政部 税务总局 科技部 关于提高研究开发费用税前加计扣除比例的通知

财税〔2018〕99号

 

研发费结构:

一、人员人工费用小计

直接从事研发活动人员     工资薪金

五险一金

外聘研发人员的劳务费用

二、直接投入费用小计

研发活动直接消耗             材料

燃料

动力费用

用于中间试验和产品试制的模具、工艺装备开发及制造费

用于不构成固定资产的样品、样机及一般测试手段购置费

用于试制产品的检验费

用于研发活动的仪器、设备的运行维护、调整、检验、维修等费用

通过经营租赁方式租入的用于研发活动的仪器、设备租赁费

三、折旧费用小计

用于研发活动的仪器的折旧费

用于研发活动的设备的折旧费

四、无形资产摊销小计

用于研发活动的软件的摊销费用

用于研发活动的专利权的摊销费用

用于研发活动的非专利技术(包括许可证、专有技术、设计和计算方法等)的摊销费用

五、新产品设计费等小计

新产品设计费

新工艺规程制定费

新药研制的临床试验费

勘探开发技术的现场试验费

六、其他相关费用小计

七、委托外部机构或个人进行研发活动所发生的费用

 

個人所得税-外国人の居住満6年判定に関する根拠公告

財政部 税務総局
中国国内に住所を有しない個人の居住日数判定標準に関する公告
財政部 税務総局公告2019年第34号

改定後の《中華人民共和国個人所得税法》と《中華人民共和国個人所得税法実施条例》を確実に実施するため、中国国内に住所を有しない個人(住所の無い個人と称する)の居住日数の判定標準を以下の通り定める。

一、住所の無い個人の一納税年度における中国国内累計居住日数が183日以上となる場合、これ以前の6年において中国国内での毎年の累計居住日数がいずれも183日以上で、且つどの年の一回の出国も30日を超えていない場合、当該納税年度の中国国内・外源泉所得について個人所得税を納付しなければならない。もし、これ以前の6年間のいずれかの1年で中国国内の累計居住日数が183日に満たないか、若しくは一回の出国が30日を超える場合、当該納税年度の中国国外源泉所得で、且つ国外の会社或は個人から支払われる所得については、個人所得税の納付を免除する。

前項に言うこれ以前の6年とは、当該納税年度の6年前から前年度までの連続した6年間を指し、これ以前の6年の起算年度を2019年(を含む)以降の年度から開始してカウントする。

二、住所の無い個人が一納税年度内において中国に居住する累計日数は、個人が中国国内に累計で滞在する日数をカウントする。中国国内での滞在当日の滞在時間が満24時間になる場合、中国国内の居住日数にカウントする。中国国内に滞在する時間が24時間に満たない一日については、中国国内の居住日数にカウントしない。

三、本公告は2019年1月1日より施行する。

ここに公告する。

財政部 税務総局
2019年3月14日

 

「本社で採用され駐在員として中国に派遣された中国人の方の個人所得税申告論点」

注:本稿は2019年3月の樱智而望企业管理咨询(上海)有限公司顧客向けレポートに掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

改正個人所得税法に基づく申告・納税が2019年2月より行われ、また累計計算による給与計算も早ければ2019年2月月初払いより適用され、改正に関する実務は一巡をしてまいりました。

今回は、本社採用で中国に派遣された中国人駐在員の方の申告の論点について触れ、改正個人所得税法に合わせて導入されたため余り脚光を浴びていない納税者識別ルールの整理について解説を行います。

【本文】

現在日本本社で採用され、駐在員として中国に派遣される中国人の方は少なくありません。それぞれ個人の事情は異なりますが、総合すると以下のような特徴を持つ方が多いといえます。

 

中国の身分証またはパスポートを保有しており、かつ日本で永住権等を取得している。

 

日本本社で採用され、駐在後は家族の本来居住地である日本に戻る予定である。

 

中国の身分証等を保有しているため、就業ビザを取る必要がない。

 

他の駐在員同様日本で社会保険に加入し続けているため、中国で社会保険に加入すると二重加入になる。

 

上のような方を仮に本稿では「中国人駐在員」の方と呼ぶことにします。

こういった中国人駐在員の方は、今回の改正以前では個人所得税法上「華僑」というカテゴリーがありまして一般の中国人の方より優遇を受けた形(月3500元ではなく4800元の税額控除)で申告を行うことが多くみられました。今回の改正で「華僑」の概念は消滅したわけではないようですが、少なくとも18年10月の改正により税額控除は中国人外国人に関わらず月5000元(年6万元)に統一されたため、華僑と主張する税法上のメリットはなくなりました。

 

ところで、今回の個人所得税の改正に伴い、以前も類似規定はありましたが「自然人納税人識別番号関連事項に関する公告」(国家税務総局公告2018年第59号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3960494/content.html 、以下59号規定と言います)が2018年12月17日付で公布されています。

 

59号規定により以下のように規定されています。

・自然人納税人識別番号は、自然人の納税人が税務実務を行う際の唯一の番号となります。税務実務には、申告、納税、還付申請、納税証明の発行、納税状況確認等が含まれますので、この番号が一度付与されれば中国の税務実務で使い続けることになります。

・中国の身分証を持つ者は、中国の身分証が自然人納税人識別番号となります。

・中国の身分証を持たないものは、「有効な身分証を税務局に提出したうえで税務局により納税人識別番号を付与されます。

・「有効な身分証」は、以下により定義されます。

  • 中国の身分証を有する中国公民の場合、中国の身分証。
  • 【中国のパスポートを有する】(意訳)華僑で中国の身分証がない場合、中国のパスポートと華僑の身分証明。
  • 香港・マカオ住民の場合、《港澳居民来往内地通行证》または《中华人民共和国港澳居民居住证》。
  • 台湾住民の場合、《台湾居民来往大陆通行证》または《中华人民共和国台湾居民居住证》。
  • 《中华人民共和国外国人永久居留身份证》を持つ外国人の場合、《中华人民共和国外国人永久居留身份证》と外国パスポート。
  • 《中华人民共和国外国人永久居留身份证》はないが、《中华人民共和国外国人工作许可证》を有する外国人の場合、《中华人民共和国外国人工作许可证》と外国パスポート。
  • その他の外国人の場合、外国パスポート。

 

この規定及び弊社の顧客実務の必要によりヒアリングしたいくつかの税務局によれば、以下のことが説明できます。

59号規定の通り、中国の身分証を持つ中国人駐在員は中国の身分証により個人所得税の申告をしなければなりません。

外国パスポートを除き、他の外国の身分証は一切中国税務申告上有効なものではありません。よって、例えば「日本の永住許可証」は中国の申告上使用してはいけません。

中国で社会保険に加入していない駐在員中国人の方の場合。税務申告情報と社会保険の情報一元化により一定のリスクはありますので、個別ケースごとに加入の要否を再検討されるべきでしょう。

駐在員の場合どのような法的形態により中国に派遣されているかが立替給与の国外送金の論点はもちろん、社会保険上でも判断根拠となるようです。合法的な範囲で個々及び会社のニーズに応じた契約・給与支払形態が採られるべきでしょう。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201939

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:特に期限なし

「500万元までの一定の固定資産の取得時一括償却」

注:本稿は2019年3月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

今号では一定の固定資産の一括償却について説明します。

関連規定は直近で発表されたものではありませんが、2018年度の企業所得税確定申告にも影響があることや、比較的多くのお客様に影響がある割には認知度が足りないと平素感じている内容です。今回あるお客様のリクエストによりこの内容を本紙面で取り上げることに致しました。内容はシンプルなものですが、皆様のご高覧に供します。

【解説:日本語】

 

1.税法上の取り扱い

 

 財政部・国家税務総局は2018年5月7日付で「設備・器具の損金算入に関する関連企業所得税政策通知」(財税[2018]54号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3439412/content.html )を発表しました。内容は次の通りです。

 

・期間:2018年1月1日から2020年12月31日までの期間

・対象:新たに取得した設備・器具で単価が500万元を超えないもの。設備・器具とは建物・構築物以外の固定資産を指す

(注:無形資産に計上される土地使用権、長期前払費用に計上される内装費も除外といえます)。

・内容:企業所得税の所得の計算上、その期に一括で損金算入できる。

 

単価が500万元までの設備・器具が対象となるため、対象期間中の多くの新規取得固定資産が対象になると言えます。

 

これまでの一括償却の規定は企業所得税法・実施条例、業種別規定を除き、2014年の「財政部国家税務総局 固定資産加速度償却の完全化に関する企業所得税政策通知」(財税[2014]75号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1260992/content.html )に単価5,000元以下の固定資産について一括償却を認めるものがあります。

また、財税[2014]75号は加速度償却についてもふれていますが、加速度償却については「財政部国家税務総局固定資産加速度償却の完全化を更に進める企業所得税政策通知」(財税[2015]106号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1818604/content.html )及び関連した確定申告方法などを定めた法規があります。

 

 

2.会計上の取り扱い

 

会計上の原価・費用認識と税法上の所得計算が異なる場合、一時差異が発生しますので、税効果会計の関連準則に基づき繰延税金負債を認識することになります。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201937

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:20201231

 

 

【法规:中文】

 

财政部 税务总局

关于设备 器具扣除有关企业所得税政策的通知

财税〔2018〕54号

 

为引导企业加大设备、器具投资力度,现就有关企业所得税政策通知如下:

 

一、企业在2018年1月1日至2020年12月31日期间新购进的设备、器具,单位价值不超过500万元的,允许一次性计入当期成本费用在计算应纳税所得额时扣除,不再分年度计算折旧;单位价值超过500万元的,仍按企业所得税法实施条例、《财政部 国家税务总局关于完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2014〕75号)、《财政部 国家税务总局关于进一步完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2015〕106号)等相关规定执行。

 

二、本通知所称设备、器具,是指除房屋、建筑物以外的固定资产。

 

财政部 税务总局

 

2018年5月7日

 

財政部 税務総局 税関総署公告2019年第39号

財政部 税務総局 税関総署
増値税改革の深化に関する政策の公告

党中央、国務院の政策部署が増値税の実質的減税を貫徹するため、2019年増値税改革に関する項目を以下の通り公告する。

 

一、増値税の一般納税人(以下納税人とする)の増値税課税販売行為または輸  入貨物について、従来16%の税率が適用されていたものは、税率を13%  に低減する。従来10%の税率が適用されていたものは、税率を9%に低減する。

 

二、納税人が購入した農産物について、従来10%の控除率が適用され ていたものは、9%の控除率に調整される。生産または委託加工に用いるため、納税人  が購入した税率13%の農産物は、10%の控除率で仕入増値税額を計算する。

 

三、従来16%の税率を適用し、かつ輸出還付率も16%の輸出貨物役務の輸出還付率は13%と  する。従来10%の税率を適用し、かつ輸出還付率も10%の輸出貨物および国を跨ぐ課

税行為の輸出還付税率は9%とする。

2019年6月30日以前(2019年4月1日以前を含む)に、納税人が前項に関連する貨物役務を輸出し、前項に関わる国を跨ぐ課税行為が生じ、増値税免税還付法を適用し、購入時に調整前の税率で増値税が徴収された場合、調整前の輸出還付税率を適用する。購入時に調整後の税率で増値税が徴収され、調整後の輸出還付税率増値税の免税還付法を適用する場合、調整後の輸出還付率を適用する。免税・還付の計算にあたって、適用税率が輸出還付税率を下回る場合、適用税率と輸出還付税率の差をゼロとみなし、免除控除税の計算に算入する。

輸出還付税率の施行時間及び輸出貨物役務、国を跨ぐ課税行為の生じた時間については、以下の規定に准ずるものとする。通関輸出の貨物役務(保税区および保税区を経由する輸出を除外する)は、通関単に記載された輸出日時を基準とする。非通関輸出の貨物役務、国を跨ぐ課税行為は、輸出発票或いは普通発票の発行日時を基準とする。保税区および保税区を経由する輸出貨物は、貨物の出国時に税関が発行した輸出貨物登録表に記載された輸出日時を基準とする。

 

四、国外の旅客が購入した13%の税率が適用される出国時還付対象物品は、還付税率を11% とする。国外の旅客が購入した9%の税率が適用される出国時還付対象物品は、還付税率 を8%とする。

2019年6月30日以前に、調整前の税率で徴収した増値税は、調整前の還付税率を適用す る。調整後の税率で徴収した増値税は、調整後の還付税率を適用する。

還付税率の施行については、還付対象商品増値税普通発票の発行日時を基準とする。

 

五、2019年4月1日から、《営業税増値税改正に関する事項の規定》(財税〔2016〕  36号)第一条(四)ノ1、第二条(一)ノ1の施行を停止する。納税人の不動産または  建築中の不動産の仕入税額を2年に分けて控除することはできない。これ以前に、上  記規定に従って控除が完了していない控除待ち仕入税額については、2019年4月から  の税所属期間の売上税額から控除することができる。

 

六、納税人が国内の旅客輸送サービスを購入した場合、その仕入税額を売上税額から控除す  ることを許可する。

(一)納税人が増値税専用発票を取得していない場合、以下の規定に基づいて、仕入税     額を決定する。

1.増値税電子普通発票がある場合、その発票に記載された税額とする。

2.旅客情報が明記された旅程表(eチケットお客様控え)の場合、以下の公式により、仕  入税額を計算する。

航空旅客輸送仕入税額=(チケット代+燃油サーチャージ)÷(1+9%)×9%

3.旅客情報が明記された鉄道チケットの場合、以下の公式により、仕入税額を計算する。

鉄道旅客仕入税額=チケット額面金額÷(1+9%)×9%

4.旅客情報が明記された陸路、水路等のその他交通機関の旅客チケットの場合、以下の式   により、仕入税額を計算する。

陸路、水路輸送等その他旅客輸送仕入税額=チケット額面金額÷(1+3%)×3%

(二)《営業税増値税改正試験地域実施弁法》(財税〔2016〕36号)第二十七条第(六)   項と《営業税増値税改正試行地域に関する事項の規定》(財税〔2016〕36号)第   二条第(一)項ノ5の“購入した旅客輸送サービス、ローンサービス、飲食サービス、   住民サービス及び娯楽サービス”は“購入したローンサービス、飲食サービス、居民   サービス及び娯楽サービス”に修正する。

 

七、2019年4月1日から2021年12月31日まで、生産、生活型サービス業を営む納税人   は、当期の控除可能仕入税額に10%を加算し、課税額から控除する(以下加算控除政  策とする)。

(一)本公告でいう生産、生活型サービス業を営む納税人とは、郵政サービス、電信サービ   ス、現代サービス、生活サービス(以下4項サービスとする)の販売額の比重が全体   の50%を超える納税人を指す。4項サービスの具体的な範囲は、《販売サービス、無   形資産、不動産注釈》(財税〔2016〕36号)により施行する。

2019年3月31日以前に事業を設立した納税人は、2018年4月~2019年3月の期間  の販売額(経営期間が12カ月未満の場合は、実際の経営期間の売上額にて計算)が

上述の規定条件に適合する場合、2019年4月1日から加算控除政策を適用できる。

2019年4月1日以降に事業を設立した納税人は、設立後3カ月の販売額が上述の  規定条件に適合する場合、一般納税人としての登記日から加算控除政策を適用でき   る。

納税人は、加算控除政策を適用することを確定した後に、当年度内に再度調整するこ  とはできない。次年度以降で適用するか否かは、前年度の販売額により計算し確定す  る。
納税人が、計上可能であるが、計上しなかった加算控除額は、加算控除政策を適用し  た当期に一括して計上することができる。

(二)納税人は、当期に控除可能な仕入税額の10%を当期加算控除額として計上する。現   行の規定により、売上税額から控除できない仕入税額は、加算控除額として計上し   てはならない。既に加算控除額を計上した仕入税額で、規定に従って仕入税額から   振替えたものは、仕入税額振替えた当期に、対応する加算控除額を減額しなければ   ならない。以下の公式により計算する。

当期計上加算控除額=当期控除可能仕入税額×10%

当期控除可能加算控除額=前期末の加算控除額残高+当期加算控除額-当期減額    加算控除額

(三)納税人は現行規定の一般計上方法により以下の課税額(以下控除前課税額とする)を   計算した後、以下の状況に区分して加算控除を行う。

1.控除前課税額がゼロの場合、当期の加算控除額は全て翌期に振り替えて控除する。
2.控除前課税額がゼロより大きく、且つ当期控除可能加算控除額よりも大きい場合は、控

除前課税額から、当期の加算控除額の全額を控除する。
3.控除前課税額がゼロより大きく、且つ当期控除可能加算控除額よりも少ない場合は、当  期の加算控除額を当期の課税額がゼロになるまで控除し、未控除の加算控除額は翌期  に振替えて、継続して控除する。

(四)納税人が貨物役務を輸出し、国を跨ぐ課税行為が生じ、且つ加算控除政策を適用しな

い場合、その対応する仕入税額は、加算控除税として加算しない。

納税人が貨物役務の輸出と国を跨ぐ課税行為を兼業し、且つ加算控除額として計上   できない仕入れ税額を区別できない場合は、以下の公式により計算する。

加算控除できない仕入税額=当期の区分されていない仕入税額全額×

当期の貨物役務輸出と国を跨ぐ課税行為が発生した販売額÷当期の全販売額

(五)納税人は単独で、加算控除額の計上、控除、減額、残額などの変動状況を計算しなけ   ればならない。

加算控除政策を悪用、或いは加算控除額を偽って増加させた場合は、《中華人民共和

国税収管理法》等関連規定に従って処理する。

(六)加算控除政策の有効期間が終了した場合、それ以降は加算控除額を計上せず、残高の   加算控除税額は控除できない。

 

八、2019年4月1日より、増値税期末未控除残高還付制度を試行する。

(一)以下の条件に適合する納税人は、増加した未控除残高を主管税務機関に申請し、還付、   返還できる。

  1. 2019年4月の税所属期間から、連続6ヵ月(四半期ごとの納税人は、連続2期)未控除残高が全てゼロ以上増加し、6ヵ月目の増加繰越税額が50万元以上である。
  2. 納税信用等級が、A級或はB級。
  3. 還付申請前の36ヵ月間、繰越還付税額・輸出還付の悪用、或は増値税専用発票の偽造を 行っていない。
  4. 還付申請前の36ヵ月間、税務機関から脱税による処罰を2回以上受けていない。
  5. 2019年4月1日から即徴収即還付・一時徴収後返還(還付)政策を受けていない。

(二)当公告の増加未控除残高とは、2019年3月末と比較して新しく増加した期末未控除残高を   指す。

(三)納税人の当期に還付、返還する増加した繰越未控除残高は、以下の公式で計算する。

還付、返還が許可された増加未控除残高=増加未控除残高×仕入構成比率×60%

仕入構成比率とは、2019年4月から還付申請前の一納税期間内に既に控除した増値    税専用発票(機動車販売統一発票を含む)、 税関輸入増値税専用納付書および税金   納付完了証明書に明記された増値税額が、同期の控除済みの仕入税額に占める比率

である。

(四)納税人は増値税の申告期限内に、主管税務機関に繰越控除税額還付・返還の申請をし   なければならない。

(五)納税人に貨物役務の輸出、国を跨ぐ課税行為が生じ、免除控除還付弁法が適用される   場合、免除控除還付された後に、尚、本公告規定の条件に適合する場合は、繰越税額   の還付・返還申請をすることができる。免除還付弁法が適用される場合は、関連する   仕入税額を利用して保留税額の還付・返還してはならない。

(六)納税人が還付・返還された繰越税額を取得した後、対応する当期繰越税額を控除しな   ければならない。本条項の規定により再度還付条件を満たした場合、継続して主管税   務局に繰越税額の還付・返還を申請することができる。しかし、本条項第(一)項ノ   1の規定する連続期間においては、重複計算してはならない。

(七)偽って仕入を水増しし、偽造申告或はその他の詐欺的手段で、繰越還付税額を悪用し   た場合、税務機関に、その騙し取った還付額を追納し、さらに《中華人民共和国税収   管理法》等の関連規定により処理する。

(八)還付・返還する増加した繰越税額の中央、地方の管理制度は、別途通知する。

九、本公告は、2019年4月1日より執行する。

ここに通知する。

「個人所得税:住所の無い個人とは」

注:本稿は2018年8月のみずほフィナンシャルグループ MIZUHO CHINA WEEKLY NEWSに掲載されました記事を2019年5月に一部加筆修正したものです。

【はじめに】

実務の世界では個人所得税の申告システムが更新され、いくつかの点について変更が行われました。
本号では、この更新のうち「外国人住所」の問題について理論的な解説を行います。実務上、税務申告システムの変更は頻繁に行われますが、法規改正等をフォローされる中国の会計税務にお詳しいお客様でも、システムの変更までは把握していないことはやむを得ません。しかし、税務リスクに関わるレベルで税務申告システムの変更が行われることは実務上度々ありますので、税務実務になじんだ専門家に定期的に申告内容を見てもらうのが良いといえるでしょう。

 

【外国人の住所】

(日本語版)
今月の金税三期個人所得税申告システムでは重要な変更(アップグレード)が行われ、申告対象者の個人情報を提出する必要があります。この中で、外国人については「住所の有無」を申告する必要があります。
これについて、原則として通常の外国人駐在員(中国の身分証保有者を除く)は中国国内で「住所のない者」であると考えます。

 

「住所」とはどのように定義されていますでしょうか?
個人所得税法実施条例第2条によると以下のように定義されています。
第二条 個人所得税法の言う中国国内に住所を有する個人とは、戸籍、家庭、経済利益関係により中国国内に習慣的に居住する個人を指す。

国税発[1994]89号「個人所得税の徴収に関する若干の問題」により、「習慣的に居住」の定義が解釈されています。
一、「習慣的に居住」の問題をいかに考えるか
個人所得税法実施条例第二条の法規により中国国内に住所を有する個人とは、戸籍、家庭、経済利益関係により中国国内に習慣的に居住する個人を指す。習慣的に居住とは、納税義務者が居住者かまたは非居住者かの一つの法律解釈上の考え方であり、実際に居住地またはある特定の時期の居住地を問題とするものではない。学習、勤務、家族親戚への訪問、旅行等の場合に中国国外に居住する場合、それらの要因がなくなった後中国国内に居住する個人は、中国をその個人が習慣的に居住する場所であると考える。

但し、この「考え方」は絶対のものではありません。国際的にみても居住者の定義は均一ではありません。
なお、習慣的居住の問題は「『中華人民共和国政府とシンガポール共和国政府の所得に対する二重課税の回避及び脱税の防止に関する協定』及び議定書条文解釈の印刷発布通知」(2010年国税発75号)にもより詳細な解釈が示されています。

 

(中文版)
这个月的金税三期个税扣缴系统出现了重大升级,需要重新报送人员身份信息。
如果有要申报的外国人,信息中有一个内容是关于有无住所的选项。
对于这一点,我们解释如下:
原则上来说,通常所有的外国人派遣员工(除了持有中国身份证的),都被认为属于在中国境内“没有住所”。

那么关于“住所”,究竟是如何定义的呢?
参考①:个人所得税法实施条例
第二条 税法所说的在中国境内有住所的个人,是指因户籍、家庭、经济利益关系而在中国境内习惯性居住的个人。

参考②:国税发[1994]89号
一、关于如何掌握“习惯性居住”的问题
条例第二条法规,在中国境内有住所的个人,是指因户籍、家庭、经济利益关系而在中国境内习惯性居住的个人。所谓习惯性居住,是判定纳税义务人是居民或非居民的一个法律意义上的标准,不是指实际居住或在某一个特定时期内的居住地。如因学习、工作、探亲、旅游等而在中国境外居住的,在其原因消除之后、必须回到中国境内居住的个人,则中国即为该纳税人习惯性居住地。

需要注意的是,以上观点也并非绝对。
国际上对于该论点也持不统一观点,其他国家会根据各自的税法等进行定义。
另外,关于“习惯性居住”的问题,在国税发[2010]75号《中华人民共和国政府和新加坡共和国政府关于对所得避免双重征税和防止偷漏税的协定》及议定书条文解释的发布通知中,也有比较详细的解释。

「駐在員の家賃の処理」

注:本稿は2018年3月のみずほフィナンシャルグループ MIZUHO CHINA WEEKLY NEWSに掲載されました記事を2019年5月に一部加筆修正したものです。

 

【はじめに】

駐在員の家賃を会社が負担する事例は良くみられますが、関連する経理処理や税務処理についてはご質問を頂く定番と言えるところです。特に、お客様が就業ビザ更新に絡んで税前給与金額を増やしたいと思われたり、はたまたお客様が外国人の手当免税優遇政策の適用を目的とした節税を考えられたりと、色々な方向に向かうことが多い分野です。
家賃の件に限りませんが、駐在員の個人所得税に関する分野は会社さん毎に少しずつ異なった傾向を持つ、なかなか一般化してお話ししにくい分野であり、同時に税額への影響が大きいため税務リスクの高い分野であると言えるでしょう。また一度誤った処理を始めると毎月同様の処理が行われ、修正がされにくく、後で発覚するとかなりのインパクトを持つという意味でもリスクが高いと言えます。

 

【駐在員の家賃の経理処理】

会社が駐在員の家賃を支出する場合の経理処理について考えてみましょう。

 

(1)賃借料として計上

まず、駐在員の家賃を「賃借料」として計上することは企業所得税の所得の計算上誤りです。これは直ちに修正すべきです。

 

(2)福利費として計上

従業員の衛生保険、生活、住居、交通のために支出する各種手当や非貨幣性福利の場合には、従業員福利費の範囲に該当します。(「企業給与報酬及び従業員福利費の企業所得税控除の問題に関する通知(国税函[2009]3号)」第三条)

企業所得税実施条例の第40条に規定する従業員福利費は給与報酬総額の14%を超えて損金算入をすることが出来ない(「企業所得税実施条例」第40条)ため、ローカル社員人数に比して駐在員人数の多い会社では、この点を視野に入れる必要があることがあります。

損金算入限度の枠内で企業所得税の計算上損金に算入するため、この住宅費用に対しては会社宛の発票を必ず発行してもらうよう、大家に依頼する必要があります。

 

(3)給与報酬に含める

一方で福利費に計上せず、住宅費は個人負担として給与報酬に含めるという考え方があります。企業が従業員のために提供する交通、住宅、通信への恩典で、貨幣化改革を実践し、月ごとに標準に従って住宅手当や交通費手当、車手当、通信手当を支払う場合、従業員給与報酬総額に含め、福利費管理を行わないことが規定されています(「財政部 企業の従業員福利費の強化に関する財務管理の通知(財企[2009]242号)」第二条)。

貨幣化改革とは翻訳に難しい言葉ですが、実費に関わらず規定に従った固定の手当を支給するというような意味合いです。

給与報酬として支給するので、実際の住宅費用がいくらか、また企業に対して家賃発票が発行されているかどうかという点が、税務上は論点にならないということになります。

住宅費を個人負担として給与報酬に含めるということはつまり手取りの増加を意味することになります。駐在員の方の多くがグロスアップで個人所得税及び税前給与を計算しているため、この処理の場合には個人所得税増額という結果を招くことになります(外国人の手当免税優遇政策、所得控除の論点を含めず考える場合)。

一方で、駐在員の家賃が福利費の枠を使わなくなりさらに給与総額に組み入れられるため、その他の福利費支出が損金に算入できる部分が大分拡大することになります。

 

最初にも書きましたが、駐在員の個人所得税の分野は個別性が強くリスクが高く、各種の状況に応じた細かい規定が相当に整備されています。税務上のご判断は本稿等の断片的な情報に依拠せず、個人所得税関係のご相談に流れるように対応できる、経験豊富な専門家にご相談いただいたうえで行われますようお願いします。